鵞足炎

鵞足炎(がそくえん)は、膝の内側にある腱(縫工筋、薄筋、半腱様筋)が
炎症を起こす疾患です。この部分が腫れたり痛んだりするため、
歩行や運動が困難になることがあります。
以下に、原因、症状、対処法を詳しく説明します。

原因

過剰な負荷
• 運動やスポーツ:
• ランニングやジャンプなど、膝を繰り返し動かす運動で鵞足に負担がかかる。
• 急激な運動量の増加:
• 普段運動をしていない人が急に激しい運動を始めた場合。

解剖学的要因
• 脚のアライメントの異常:
• O脚やX脚、扁平足などにより膝内側に負担がかかりやすい。
• 膝の構造の問題:
• 膝関節の不安定性や変形性膝関節症がある場合。

筋力や柔軟性の不足
• 太ももの筋力不足:
• 特に内転筋やハムストリングスが弱いと膝内側に負担が集中する。
• 筋肉の硬さ:
• 太ももの内側や裏側の筋肉が硬くなり、鵞足部分を引っ張る。

生活習慣や環境
• 不適切な靴:
• クッション性が低く、膝に負担をかける靴の使用。
• 硬い地面での運動:
• アスファルトやコンクリートでのランニングなど。

症状

典型的な症状
1. 膝内側の痛み:
• 特に膝の内側(鵞足部)に鋭い痛みや鈍い痛みを感じる。
2. 腫れや炎症:
• 痛みの部位に腫れや熱感がある場合も。
3. 動作時の痛み:
• 階段の上り下りや長時間の歩行で痛みが悪化。
4. 朝のこわばり:
• 朝起きたときに膝の動きが硬く感じることがある。

進行した場合
• 痛みが安静時にも持続する。
• 動作の制限が増し、膝の曲げ伸ばしが困難になる。

対処法

痛みを和らげる方法
1. 安静:
• 運動や膝に負担のかかる動作を中止し、安静にする。
2. アイシング:
• 痛む部位を1回15~20分、1日に数回冷やす。
3. 圧迫と挙上:
• 弾性包帯で膝を軽く圧迫し、腫れを抑える。
• 足を心臓より高く上げて血流を促進。

ストレッチと筋力トレーニング
1. ハムストリングスのストレッチ:
• 脚を前に伸ばして座り、つま先を手で引き寄せる。
2. 内転筋のストレッチ:
• 足裏を合わせ、膝を外側に倒して内ももを伸ばす。
3. 太ももの筋力強化:
• スクワット:
• 膝に負担をかけない範囲で行う。
• ヒップブリッジ:
• 仰向けで膝を曲げ、お尻を持ち上げる動作を繰り返す。

生活習慣の改善
1. 適切な靴を選ぶ:
• クッション性が高く、膝への衝撃を軽減する靴を履く。
2. 運動環境の見直し:
• 硬い地面での運動を避け、芝生や柔らかい路面で運動を行う。
3. 姿勢の改善:
• 立ち方や歩き方を見直し、膝に均等に体重をかける。

専門的な治療
1. 理学療法:
• 専門家によるリハビリや筋力トレーニング指導。
• 膝の可動域を広げるためのストレッチや運動。
2. 薬物療法:
• 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用して炎症を抑える。
3. 注射療法:
• 症状が強い場合、ステロイド注射が行われることも。
4. テーピングやサポート器具:
• 膝の安定性を高めるためのテーピングやサポーターを使用。

予防方法

1. 筋力バランスの向上:
• 太ももの内側、裏側、外側の筋肉をバランスよく鍛える。
2. 柔軟性の維持:
• 定期的にストレッチを行い、筋肉の柔軟性を高める。
3. 正しいフォームで運動:
• ランニングやジャンプの際、正しいフォームを意識する。
4. トレーニング量の調整:
• 運動量を急激に増やさない。
5. 適切な体重管理:
• 適正体重を維持し、膝への負担を軽減する。

医師を受診すべきタイミング
• 痛みが数週間以上続く場合。
• 膝の腫れや熱感が強くなる場合。
• 膝の曲げ伸ばしが著しく制限される場合。

鵞足炎は、適切な休養とケアを行うことで改善することが多いですが、
放置すると慢性化する可能性があります。
早期に対処し、予防策を取り入れることで再発を防ぐことが重要です。

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