頸部後縦靭帯骨化症(OPLL)

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頸部後縦靭帯骨化症は、脊柱管内にある「後縦靭帯」が骨化(骨に変わる)
することで、脊髄や神経根を圧迫し、神経症状を引き起こす疾患です。
日本を含むアジア地域での発症率が比較的高いことが知られています。

主な原因・要因

1. 遺伝的要因
• 家族歴がある場合、発症リスクが高まることがあります。
2. 加齢
• 年齢とともに靭帯組織が変性し、骨化しやすくなる。
3. 生活習慣
• 肥満や糖尿病がリスク因子とされています。
4. 炎症やストレス
• 慢性的な負担や炎症が靭帯の骨化を促進する可能性があります。
5. ホルモン異常
• 骨形成を促すホルモンの異常が関与していると考えられています。

症状

症状は骨化の進行度や脊髄の圧迫の程度によって異なります。
初期は無症状の場合もありますが、進行すると以下の症状が現れます

1. 神経圧迫による症状
• 首の痛みやこわばり
• 特に首を動かしたときに痛みが生じる。
• 肩や腕のしびれ、痛み
• 神経根が圧迫されると、腕や手にしびれや痛みが広がる。

2. 脊髄圧迫による症状(脊髄症状)
• 四肢のしびれ・脱力感
• 手や足に力が入りにくくなる。
• 歩行障害
• 足がもつれる、バランスを崩しやすい。
• 巧緻運動障害
• 手先の動きが不器用になる(ボタンを留めるのが困難など)。
• 膀胱・直腸障害
• 重症化すると排尿や排便のコントロールが困難になる。

対処法

1. 保存療法(軽度~中等度の場合)

症状が軽度であれば、保存療法が選択されます。
• 生活習慣の改善
• 首に負担をかけない姿勢を保つ。
• 適切な体重を維持し、肥満を防ぐ。
• 物理療法
• 温熱療法やストレッチで首周囲の筋肉を緩める。
• 薬物療法
• 鎮痛剤(NSAIDs)や筋弛緩薬で痛みやこわばりを軽減。
• 神経症状が強い場合、ビタミンB12の補充を行うこともある。

2. 手術療法(重度の場合)

保存療法で改善が見られない場合や脊髄圧迫が強い場合は、手術が検討されます。
• 椎弓形成術
• 脊柱管を広げる手術で、脊髄の圧迫を解消する。
• 前方除圧固定術
• 骨化した後縦靭帯を直接取り除き、固定を行う。
• 後方固定術
• 背中側から固定して脊柱の安定性を高める。

術後のリハビリテーション
• 術後は、リハビリを通じて可動域の回復や筋力強化を図る。

予防法
1. 姿勢を改善する
• デスクワークやスマホ使用時の姿勢に注意し、首に負担をかけないようにする。
2. 定期的な運動
• 首や肩周りの筋肉を強化する適度な運動を行う。
3. 生活習慣の見直し
• 肥満や糖尿病を予防し、骨や靭帯の健康を保つ食生活を心がける(カルシウムやビタミンDの摂取)。
4. 早期診断と治療
• しびれや痛みが続く場合は、早めに整形外科を受診し、適切な診断と治療を受ける。

注意事項

頸部後縦靭帯骨化症は進行性の疾患であり、放置すると神経症状が悪化する可能性があります。
早期に適切な治療を受けることで、症状の進行を抑えることが重要です。

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