耳管開放症

耳管開放症（じかんかいほうしょう）は、耳管（中耳と鼻をつなぐ管）が
異常に開いたままになっている状態で、耳管が通常閉じるべきときに開きっぱなしになることに
よって発生します。
これにより、耳の圧力が調整できなくなり、さまざまな不快な症状が現れることがあります。

原因

耳管開放症の原因は、以下のようなものが考えられます。
1. 体重減少: 体重が急激に減少すると、耳管の周りの脂肪が減り、
耳管を支える筋肉が弱くなって開放症が発生することがあります。
2. ホルモンの変動: 妊娠や更年期など、ホルモンの変動が耳管開放症を引き起こすことがあります。
特に女性に多いとされています。
3. ストレス: ストレスや過度の緊張が耳管に影響を与えることがあり、
開放症を引き起こす可能性があります。
4. アレルギー: アレルギー性鼻炎など、鼻の粘膜が炎症を起こすことが
耳管開放症の原因になることがあります。
5. 耳管の機能的問題: 生まれつき耳管の機能が弱い場合や、
過去に耳の手術を受けたことがある場合にも耳管開放症を引き起こすことがあります。
6. 環境の影響: 急激な気圧の変化（飛行機の離着陸など）が
耳管開放症を悪化させることがあります。

症状

耳管開放症の症状は、通常、以下のようなものが現れます。
1. 耳のこもった感じ: 異常に耳が詰まったように感じることがあります。
耳管が開いたままであるため、耳の圧力調整がうまくいかず、
こもったように聞こえることがあります。
2. 自分の声が響く（自声強調）: 自分の声が耳の中で大きく響くように感じることがあります。
これを「自声強調」と呼びます。
3. 耳鳴り: 耳管が開いたままでいると、耳鳴りを感じることがあります。
4. 耳の痛み: 一部の人は、耳管が開いた状態で不快感や痛みを感じることがあります。
5. バランスの不調: 耳管の開放による圧力の不安定さが、
軽度のめまいやふらつきを引き起こすことがあります。
6. 聴力の異常: 音が響く感覚や、耳が詰まった感じが聴力に影響を与え、
音が歪んで聞こえることがあります。

対処法

耳管開放症の治療は、症状の軽減と耳管の正常な機能を回復させることを目的としています。
一般的な対処法としては以下の方法が考えられます。
1. 薬物療法:
• 去痰薬: 耳管の粘膜が過剰に乾燥している場合、去痰薬を使うことで症状が改善することがあります。
• 鼻腔スプレー: アレルギーが原因の場合、ステロイド鼻スプレーが処方されることがあります。
• 口からの薬: 炎症や腫れが原因である場合、抗炎症薬や抗アレルギー薬が処方されることがあります。
2. 耳管開放症の管理:
• 体重管理: 体重の急激な減少が原因の場合、健康的な体重を
維持することが症状の軽減に繋がることがあります。
• ストレス管理: ストレスが原因である場合、リラクゼーション法や心理的サポートが効果的です。
3. 耳管に圧力を加える:
• バルサルバ法: 鼻をつまんで息を吐くことによって耳管に圧力をかけ、
開放症を改善することがあります。ただし、無理に行わないように注意が必要です。
• 耳管のマッサージ: 軽いマッサージを行い、耳の周囲の筋肉をリラックスさせることで
改善が期待できることがあります。
4. 耳の保護: 急激な気圧の変化を避けるため、飛行機に乗る前に耳栓を使用することや、
気圧の変動を調整できるようにすることが有効です。
5. 手術療法: 耳管開放症が重度で、他の治療が効果を示さない場合、耳管に人工的に圧力を
加えるための手術（耳管通気手術など）が行われることもあります。

耳管開放症は、特に症状が続く場合や生活に支障をきたす場合には、
耳鼻科を受診して適切な診断と治療を受けることが大切です。