梨状筋症候群

梨状筋症候群は、骨盤内の筋肉である梨状筋が坐骨神経を
圧迫することで痛みやしびれが生じる疾患です。
主にお尻や太もも、場合によってはふくらはぎまで症状が広がることがあります。
坐骨神経痛と似た症状を引き起こしますが、原因が梨状筋にあることが特徴です。

原因

1. 筋肉の緊張や硬直
• 長時間座り続けることや、不良姿勢による梨状筋の過緊張。
• スポーツや運動での過度な使用や筋肉の疲労。

2. 外傷や損傷
• 転倒やお尻を打つなどの外傷で梨状筋が損傷し、その結果、炎症や腫れが神経を圧迫する。

3. 梨状筋の解剖学的異常
• 坐骨神経が通常と異なる位置を通る場合、梨状筋と神経の摩擦が起きやすくなります。

4. 筋力や柔軟性のアンバランス
• お尻や腰周りの筋肉が弱い、または柔軟性が低下していること。

5. その他の要因
• 長時間の運転や自転車の使用。
• 妊娠や肥満による骨盤への過剰な負荷。

症状

主な症状
1. お尻の痛み
• 深部の鈍い痛み、または鋭い痛み。
• 痛みは片側のお尻に集中することが多い。
2. 下肢のしびれや痛み
• 坐骨神経の経路に沿って、太ももの裏側やふくらはぎに広がることがあります。
• 場合によっては足までしびれや痛みが及ぶ。
3. 動作による症状の悪化
• 長時間座る、歩く、階段を上る、腰をひねるなどの動作で痛みが増す。
4. 姿勢の制限
• 痛みや違和感で正しい姿勢を保てず、歩行や日常動作に支障が出る。

注意すべき症状
• 坐骨神経痛に似た症状が現れるため、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症との鑑別診断が必要。

対処法

1. 保存療法

安静
• 痛みが強い場合は、無理な動作を控え、安静を保つ。

温熱療法
• ホットパックやお風呂で筋肉を温め、血行を促進する。
• 慢性的な痛みに特に効果的。

ストレッチ
• 梨状筋を緩めるストレッチを行う。
• 例1: 仰向けに寝て、片膝を反対側の胸に引き寄せる。
• 例2: 座った状態で片足を反対の膝の上に置き、前屈してお尻を伸ばす。

筋力トレーニング
• 体幹や骨盤周りの筋肉を強化して、負担を分散させる。
• 例: ヒップリフト（仰向けで膝を立て、お尻を持ち上げる運動）。

2. 薬物療法
• 鎮痛薬
・痛みや炎症を抑えるため、非ステロイド性抗炎症薬（NSAIDs）を使用。
• 筋弛緩薬
・筋肉の緊張を和らげるための薬を使用。

3. 理学療法
• 専門家の指導のもと、筋肉の緊張を解消し、正しい姿勢や動作を学ぶ。
• マッサージや電気療法で筋肉をほぐす。

4. 神経ブロック注射
• 症状が強い場合、坐骨神経周辺に局所麻酔薬やステロイドを注射し、痛みを軽減する。

5. 生活習慣の改善

姿勢の見直し
• 長時間座る場合は、正しい姿勢を意識する。
• 1時間ごとに立ち上がり、軽く体を動かす。

適切な運動
• ウォーキングやヨガなどの軽い運動を日常生活に取り入れる。

体重管理
• 肥満による骨盤や梨状筋への負担を減らす。

予防法

1. 柔軟性を維持する
• 定期的にストレッチを行い、梨状筋や腰周りの筋肉を柔らかく保つ。
2. 筋力のバランスを取る
• 特に体幹や骨盤周りの筋肉を鍛えることで、過剰な負担を軽減。
3. 適切な姿勢を心がける
• 長時間座る場合、腰を丸めたり足を組むことを避ける。

注意点

• 痛みやしびれが改善しない場合、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、
坐骨神経痛など他の疾患が原因の可能性もあるため、整骨院やリハビリ専門医の診察を受けてください。

まとめ

梨状筋症候群は、早期の対処と適切な生活習慣の見直しで改善が期待できる疾患です。
日常的にストレッチや筋力強化を行い、姿勢や動作を見直すことで予防も可能です。
痛みが強い場合や症状が長引く場合は、専門医に相談してください。