悪阻（つわり）

悪阻（つわり）は、妊娠初期（主に妊娠5～16週）に多くの妊婦が経験する症状で、
吐き気や嘔吐が主な特徴です。つわりの重さは個人差があり、軽い場合もあれば、
日常生活に支障をきたす重症例もあります。

原因

つわりの正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、以下の要因が関与していると考えられています：
1. ホルモンの変化
• 妊娠初期に分泌が急増する**ヒト絨毛性ゴナドトロピン（hCG）**が影響。
• 妊娠を維持するために分泌されるエストロゲンやプロゲステロンも影響を与え、胃腸の働きが鈍くなることがある。
2. 自律神経の乱れ
• 妊娠による体内の急激な変化が自律神経に影響を与え、吐き気を引き起こす。
3. 嗅覚や味覚の変化
• 妊娠中は嗅覚や味覚が敏感になるため、特定の匂いや食べ物が吐き気を誘発することがある。
4. 心理的要因
• 妊娠への不安やストレスが悪阻の症状を悪化させることも。
5. 体の防御反応
• 母体が有害な物質（アルコール、カフェイン、特定の食品など）を避けるための生理的な反応とする説もある。

症状

悪阻の症状は個人差があり、多岐にわたります。主な症状は以下の通りです：
1. 吐き気
• 空腹時や特定の匂い、食べ物を見たときに吐き気が強まる。
2. 嘔吐
• 吐き気に伴い嘔吐することがある。頻繁な嘔吐は「重症妊娠悪阻」と呼ばれる状態になる可能性も。
3. 食欲不振
• 食べたいと思える食べ物が限られる。酸味のあるものや冷たいものを好むことが多い。
4. 疲労感や倦怠感
• 吐き気や嘔吐の影響で体力が低下する。
5. 敏感になる匂いや味
• 普段は気にならない匂いや味が気持ち悪く感じる。
6. 体重減少
• 食べられない状態が続くことで一時的な体重減少が起きる。

対処法

1. 食事の工夫
1. 少量を頻回に食べる
• 空腹になると吐き気が強くなるため、少量をこまめに摂取。
• 例えば、クラッカーやスープ、果物など消化に良いものを選ぶ。
2. 冷たい食べ物を選ぶ
• 冷たい食品（ヨーグルト、ゼリー、アイスクリーム）は匂いが控えめで食べやすい。
3. 酸味のある食品
• レモン、梅干し、酢を使った料理が吐き気を和らげる場合がある。
4. 匂いの強い食品を避ける
• 油っぽい食べ物や香辛料が強い料理は避ける。
5. 水分補給
• 脱水を防ぐために少量ずつこまめに水分を摂取（経口補水液、ハーブティー、フルーツジュースなど）。

2. 生活習慣の見直し
1. 十分な休息
• 疲労やストレスは症状を悪化させるため、無理をせず休む。
2. 朝、ゆっくり起きる
• 起床直後に吐き気が起きやすい場合は、ベッドの近くにクラッカーやキャンディーを置き、起きる前に少し口にすると楽になる。
3. ストレスを減らす
• 瞑想や深呼吸、趣味などでリラックスする時間を作る。
4. 適度な運動
• 軽いウォーキングやヨガで血行を促進。

3. 自然療法
1. ショウガ
• ショウガ入りのお茶や飴は吐き気を和らげる効果がある。
2. アロマセラピー
• レモンやペパーミント、ラベンダーのエッセンシャルオイルがリラックス効果をもたらす。
3. ツボ押し
• 「内関（手首の内側）」を軽く押すことで吐き気を軽減できる場合がある。

4. 医療機関での対応
1. ビタミンB6補充
• ビタミンB6が悪阻の症状を和らげる場合があります（医師に相談）。
2. 制吐薬の処方
• 症状が重い場合、医師が安全な制吐薬を処方することがあります。
3. 点滴治療
• 重症妊娠悪阻で脱水や栄養不足が見られる場合、病院で点滴が必要になることがあります。
4. 栄養サポート
• 必要に応じて栄養補助食品や医療的な管理を行います。

注意が必要な場合

以下の症状がある場合は、医師に相談してください：
• 嘔吐がひどく、水分すら摂れない。
• 脱水症状（口の渇き、尿が少ない、頭痛など）が見られる。
• 体重が大幅に減少している。
• 強い疲労感や倦怠感が続く。

まとめ

悪阻の吐き気は妊娠初期の自然な現象ですが、適切なセルフケアや医療機関のサポートで
軽減できることが多いです。自分の体調を優先し、無理をせず、必要に応じて周囲や医師に相談してください。