外反肘

外反肘は、肘を伸ばした状態で腕が通常より外側に向いている状態を指します。
これは正常な肘の「外反角度」（肘がわずかに外に開く自然な角度）が
過剰になった状態です。

原因

外反肘は先天的な要因や外傷、過剰な負担などで生じることがあります。

1. 先天的な要因
• 生まれつきの関節形成異常
• 肘関節や骨の形状に問題がある場合、外反肘になることがある。

2. 外傷や骨折の後遺症
• 肘の骨折（上腕骨顆上骨折や外顆骨折）
• 成長期の骨折が適切に治らなかった場合、関節の軸がずれて外反肘になることがある。
• 外傷後の変形治癒
• 骨折や脱臼が治る際に肘の角度が変わる。

3. 肘への過度な負担
• 繰り返し肘を酷使するスポーツ（野球、バレーボールなど）や作業。
• 投球動作
• 野球などのスポーツで不適切なフォームでの投球が影響する。

4. 加齢や退行性変化
• 肘関節の軟骨がすり減ることによる変形性関節症の影響。

症状

外反肘自体は痛みを伴わないこともありますが、関連症状や合併症が現れる場合があります。
1. 肘の変形
• 肘を伸ばしたときに腕が外側に大きく開いて見える。
• 特に服を着ていない状態で目立つ。
2. 肘の痛み
• 運動や負荷がかかったときに肘が痛む場合がある。
• 長期的には変形性関節症の原因となることも。
3. 可動域の制限
• 肘の曲げ伸ばしがスムーズに行えない場合がある。
4. 神経症状
• 外反肘が尺骨神経を圧迫すると、小指や薬指のしびれや感覚異常（肘部管症候群）が現れる。
5. 筋力低下
• 長期間の変形により腕の筋力が低下することがある。

対処法

1. 保存療法（軽症の場合）
• 経過観察
• 痛みや日常生活への支障が少ない場合、変形の進行を観察する。
• ストレッチと筋力強化
• 肘周りの柔軟性を高め、筋力を維持するためのリハビリを行う。
• 肩や手首の筋力を鍛え、肘への負担を軽減する。

2. サポート器具の使用
• サポーターや装具
• スポーツや作業中に肘を保護し、負担を軽減する。

3. 理学療法
• 理学療法士によるリハビリ
• 可動域訓練や筋力強化運動で肘の安定性を高める。
• 超音波や電気刺激療法
• 痛みの緩和や筋肉の機能回復を目的に使用。

4. 手術療法（重症の場合）
保存療法で改善しない場合や、日常生活に支障をきたす場合には手術が検討されます。
• 骨切り術
• 肘の軸を修正し、正常な角度に戻す手術。
• 神経移動術
• 尺骨神経の圧迫を軽減するために神経の位置を移動する手術（肘部管症候群を伴う場合）。

予防方法