先天性股関節脱臼(先天性股関節形成不全)
- HOME
- 先天性股関節脱臼(先天性股関節形成不全)
先天性股関節脱臼(または先天性股関節形成不全)は、生まれつき股関節の構造に異常があり、
大腿骨頭が臼蓋(骨盤の受け皿)にしっかりとはまらない状態を指します。
この疾患は、未治療のままだと将来的に変形性股関節症や歩行障害の原因になる可能性があります。
以下に原因、症状、対処法を詳しく解説します。
原因
発生の主な要因
1. 遺伝的要因:
• 家族に先天性股関節脱臼の既往がある場合、リスクが高まる。
2. 出生時の状況:
• 骨盤位(逆子)で生まれた場合、股関節に異常が起こりやすい。
3. 性別:
• 女児に多く見られる(男児よりも6倍発生率が高い)。
4. 子宮内環境:
• 子宮内のスペースが狭い場合、股関節に不自然な圧力がかかる。
5. 骨や軟部組織の形成異常:
• 臼蓋が浅い、または関節が緩い状態で生まれる。
リスク要因
• 第一子: 母体の骨盤が未経験な出産で狭い場合。
• 胎児の体位異常: 股関節に異常な力がかかりやすい。
• 遺伝性疾患: 関節の柔軟性に影響を及ぼす疾患。
症状
乳児期の症状
1. 足の可動域の異常:
• 両足を開く動作(開排)が制限される。
2. 脚の長さの違い:
• 脚の片方が短く見えることがある。
3. しわの不対称:
• 太ももやお尻の皮膚のしわが左右対称でない。
4. クリック音:
• 股関節を動かした際にクリック音がする(脱臼を示唆)。
幼児期以降の症状
1. 歩行異常:
• 初めて歩き始めた時に、びっこを引くような歩き方になる。
2. 痛み:
• 放置すると成長後に股関節痛が出ることがある。
3. 腰や膝の負担:
• 他の関節にも負担がかかり、痛みが生じることがある。
対処法
診断
1. 身体検査:
• バロー検査やオルトラーニ検査で脱臼の有無を確認。
2. 画像検査:
• 超音波検査(乳児期に有効)。
• X線検査(6か月以上の乳児や幼児期に適用)。
治療法
1. 乳児期の治療:
• 装具療法:
• リーメンビューゲル装具やパブリックハーネスを使用して股関節を正常な位置に保つ。
• 生後6か月以内の治療で良好な結果を得られることが多い。
• ギプス固定:
• 装具が効果を示さない場合に適用。
2. 幼児期の治療:
• 牽引療法:
• 股関節を徐々に正常な位置に戻すための治療。
• 手術療法:
• 重度の症例や装具療法が無効な場合に整復手術を行う。
• 大腿骨や臼蓋の形成を改善するための骨切り術が行われることもある。
3. 成人期以降の治療:
• 変形性股関節症の進行に対して人工股関節置換術を行う場合がある。
生活習慣やサポート
1. 早期治療:
• 生後6か月までの治療が最も効果的。
2. 正しい抱き方やおむつ替え:
• 股関節に無理な力をかけないよう注意。
3. 定期検診:
• 股関節の発育状態を定期的に確認。
予防方法
1. 胎児の骨盤位に注意
• 妊娠中に骨盤位が判明した場合は、医師の指導を受ける。
2. 正しい育児の習慣
• 抱き方: 股関節が自然に開いた状態で抱く(膝を曲げて股関節を広げる姿勢)。
• おくるみ: 股関節を締め付けず、自然に動かせるようにする。
3. 早期発見と治療
• 新生児検診や1か月検診で股関節の異常を見逃さない。
医師を受診すべきタイミング
• 赤ちゃんの足の動きが左右対称でないと感じた場合。
• 股関節にクリック音やぐらつきがある場合。
• 幼児期以降に歩行異常や足の長さの違いを感じた場合。
先天性股関節症は早期発見・治療が鍵です。乳児期に適切な対応を行えば、
ほとんどの子どもが正常な股関節の機能を取り戻し、問題なく成長することが期待できます。
疑わしい症状がある場合は、早めに専門医を受診しましょう。
大腿骨頭が臼蓋(骨盤の受け皿)にしっかりとはまらない状態を指します。
この疾患は、未治療のままだと将来的に変形性股関節症や歩行障害の原因になる可能性があります。
以下に原因、症状、対処法を詳しく解説します。
原因
発生の主な要因
1. 遺伝的要因:
• 家族に先天性股関節脱臼の既往がある場合、リスクが高まる。
2. 出生時の状況:
• 骨盤位(逆子)で生まれた場合、股関節に異常が起こりやすい。
3. 性別:
• 女児に多く見られる(男児よりも6倍発生率が高い)。
4. 子宮内環境:
• 子宮内のスペースが狭い場合、股関節に不自然な圧力がかかる。
5. 骨や軟部組織の形成異常:
• 臼蓋が浅い、または関節が緩い状態で生まれる。
リスク要因
• 第一子: 母体の骨盤が未経験な出産で狭い場合。
• 胎児の体位異常: 股関節に異常な力がかかりやすい。
• 遺伝性疾患: 関節の柔軟性に影響を及ぼす疾患。
症状
乳児期の症状
1. 足の可動域の異常:
• 両足を開く動作(開排)が制限される。
2. 脚の長さの違い:
• 脚の片方が短く見えることがある。
3. しわの不対称:
• 太ももやお尻の皮膚のしわが左右対称でない。
4. クリック音:
• 股関節を動かした際にクリック音がする(脱臼を示唆)。
幼児期以降の症状
1. 歩行異常:
• 初めて歩き始めた時に、びっこを引くような歩き方になる。
2. 痛み:
• 放置すると成長後に股関節痛が出ることがある。
3. 腰や膝の負担:
• 他の関節にも負担がかかり、痛みが生じることがある。
対処法
診断
1. 身体検査:
• バロー検査やオルトラーニ検査で脱臼の有無を確認。
2. 画像検査:
• 超音波検査(乳児期に有効)。
• X線検査(6か月以上の乳児や幼児期に適用)。
治療法
1. 乳児期の治療:
• 装具療法:
• リーメンビューゲル装具やパブリックハーネスを使用して股関節を正常な位置に保つ。
• 生後6か月以内の治療で良好な結果を得られることが多い。
• ギプス固定:
• 装具が効果を示さない場合に適用。
2. 幼児期の治療:
• 牽引療法:
• 股関節を徐々に正常な位置に戻すための治療。
• 手術療法:
• 重度の症例や装具療法が無効な場合に整復手術を行う。
• 大腿骨や臼蓋の形成を改善するための骨切り術が行われることもある。
3. 成人期以降の治療:
• 変形性股関節症の進行に対して人工股関節置換術を行う場合がある。
生活習慣やサポート
1. 早期治療:
• 生後6か月までの治療が最も効果的。
2. 正しい抱き方やおむつ替え:
• 股関節に無理な力をかけないよう注意。
3. 定期検診:
• 股関節の発育状態を定期的に確認。
予防方法
1. 胎児の骨盤位に注意
• 妊娠中に骨盤位が判明した場合は、医師の指導を受ける。
2. 正しい育児の習慣
• 抱き方: 股関節が自然に開いた状態で抱く(膝を曲げて股関節を広げる姿勢)。
• おくるみ: 股関節を締め付けず、自然に動かせるようにする。
3. 早期発見と治療
• 新生児検診や1か月検診で股関節の異常を見逃さない。
医師を受診すべきタイミング
• 赤ちゃんの足の動きが左右対称でないと感じた場合。
• 股関節にクリック音やぐらつきがある場合。
• 幼児期以降に歩行異常や足の長さの違いを感じた場合。
先天性股関節症は早期発見・治療が鍵です。乳児期に適切な対応を行えば、
ほとんどの子どもが正常な股関節の機能を取り戻し、問題なく成長することが期待できます。
疑わしい症状がある場合は、早めに専門医を受診しましょう。