アキレス腱周囲炎

  • HOME
  • アキレス腱周囲炎
アキレス腱周囲炎は、アキレス腱の周囲を覆う組織(滑液包や腱鞘など)が
炎症を起こす疾患です。アキレス腱そのものの炎症(アキレス腱炎)とは異なり、
主に腱を取り巻く軟部組織が影響を受けます。
以下に、原因、症状、対処法を詳しく解説します。

原因

運動や負荷の影響
1. 過度な運動:
• ランニングやジャンプを含むスポーツで、アキレス腱やその周囲に過剰な負荷がかかる。
2. 急激な運動量の増加:
• 普段運動していない人が突然激しい運動を始めた場合。
3. 不適切なランニングフォーム:
• 足首やかかとに過度なストレスがかかるフォーム。

解剖学的要因
1. 足の構造の問題:
• 扁平足やハイアーチによりアキレス腱への負担が増加。
2. 脚のアライメントの異常:
• O脚、X脚、膝や骨盤の歪みが原因で腱周囲に負担がかかる。

環境や装備の影響
1. 硬い地面での運動:
• アスファルトやコンクリートでのランニングが負担を増加。
2. 靴の問題:
• クッション性の低い靴や摩耗した靴を使用。

その他の要因
1. 靭帯や筋肉の硬さ:
• ふくらはぎや足底筋膜の硬直が影響。
2. 加齢:
• アキレス腱やその周囲の柔軟性が低下し、炎症を起こしやすくなる。

症状

初期症状
1. かかとの上部やアキレス腱周囲の痛み:
• 特に運動中や運動直後に痛みを感じる。
2. 軽い腫れ:
• アキレス腱の周囲が腫れ、押すと痛みを伴う。

進行した場合
1. 持続的な痛み:
• 安静時や日常動作中にも痛みが続く。
2. こわばり:
• 朝起きたときや長時間座った後に、アキレス腱周囲が硬く感じる。
3. 熱感や圧痛:
• 炎症部位に熱を感じ、軽く触れるだけで痛みがある。

重症の場合
• 炎症が慢性化し、腱鞘や滑液包にしこりが形成されることもある。
• アキレス腱断裂のリスクが増加。

対処法

安静と負荷の軽減
1. 運動の中止:
• 痛みがある場合は運動を控え、腱周囲への負担を軽減。
2. 足を高くする:
• 腫れを抑えるために、足を心臓より高い位置に置く。

痛みと炎症を抑える方法
1. アイシング:
• 痛む部位を15~20分冷やし、炎症を軽減(1日に数回)。
2. 圧迫:
• 弾性包帯やサポーターを使用して、腱周囲を軽く圧迫。
3. 鎮痛薬の使用:
• 必要に応じて非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を服用。

筋力と柔軟性の改善
1. ストレッチ:
• ふくらはぎのストレッチ:
• 壁に手をついて片足を後ろに引き、かかとを床に押し付ける。
• 足首のストレッチ:
• 足首を上下に動かす運動。
2. エキセントリックトレーニング:
• 階段の端で踵を下げるカーフレイズを行う(痛みがない場合)。
3. 筋力強化:
• 足底やふくらはぎの筋肉を鍛える軽いエクササイズを取り入れる。

運動再開時の注意
1. 徐々に負荷を増やす:
• 運動量を段階的に増やし、再発を防ぐ。
2. フォームの改善:
• ランニングフォームを見直し、足首や膝への負担を軽減。
3. 適切な運動環境:
• 柔らかい地面(芝生や土の上)での運動を優先。

補助器具の活用
1. インソールやヒールリフト:
• 踵を少し持ち上げることで腱への緊張を軽減。
2. サポーター:
• アキレス腱をサポートし、炎症を和らげる。

専門的治療
1. 理学療法:
• 専門家によるストレッチや筋力トレーニング指導。
2. 超音波療法:
• 超音波を使って血流を促進し、炎症を軽減。
3. 注射療法:
• 症状が重い場合、ステロイド注射やPRP療法(多血小板血漿注射)を実施。

手術療法(重症例)
• 保存的治療で改善しない場合に検討。
• 炎症を起こした滑液包や腱鞘を切除する手術が行われることがある。

予防方法

1. 適切な靴の選択:
• クッション性が高く、アーチをサポートする靴を履く。
2. ウォームアップとクールダウン:
• 運動前後にストレッチを十分に行い、筋肉をほぐす。
3. 運動量の調整:
• 過剰な運動を避け、徐々にトレーニングを増やす。
4. 筋力バランスを保つ:
• 足底やふくらはぎの筋肉を鍛え、柔軟性を維持する。
5. 硬い地面を避ける:
• アスファルトやコンクリートではなく、柔らかい地面で運動する。

医師を受診すべきタイミング
• 痛みが数週間続く場合。
• 症状が悪化し、日常生活に支障をきたす場合。
• 腫れや熱感が強く、痛みが安静時にも続く場合。

アキレス腱周囲炎は早期のケアと適切な治療で改善が期待できる疾患です。
症状が出た場合は無理をせず、早めに対処することが重要です。

電話する
電話する
LINE